ルーティーンはイップスを救うのか

 

ルーティンという言葉は、日課、習慣という意味合いで使われますよね。

 

  スポーツメンタル強化の分野で「ルーティン」「プレパフォーマンスルーティン」という言葉を使うということが、広く知られるところになりました。

 

ゴルフでは、比較的昔からメンタルテクニック的に使われていて、

「プレショットルーティン」

といって、ショットの前の段取りを統一することで平常心を保ちやすくなるとされています。

 

 

 

スポーツ心理学者やメンタルトレーナー、スポーツライターらはおしなべて「ゲン担ぎとは違う」ということを力説しています。

 

 

もともとは、強い選手、一流選手の所作に「ルーティン」を強く感じさせる共通点があまりにも多かったことから、なぜ強い選手はこういう行動をするのだろうと逆算的に研究したものだと思うのです。その効果が科学的に立証されたということなのでしょう。

 

「いつも通り」のプロセスそのものにフォーカスすることで、心拍数や呼吸の安定、気持ちの落ち着きが、平常心での「いつもどおりのプレーリズムのベルトコンベアに乗せる」というイメージになります。

 

 

 

1、選手自身(プレーヤー)、技術的コーチの視点

 

自分のやりたいようにやっていて自然と身についた自分のスタイル、だったり、

ストレッチやこれからやる動作に対しての予備的動作が入っていたり、

相手がいる場合は特に自分の時間帯であることをアピールして自分のペースに巻き込むことを狙ったり、

コレをやったらいい結果が出たという、それこそ「ゲン担ぎ」の集合体だったりします。

 

予備的動作の場合は、技術的課題によっては動きを変えたりするときは技術的コーチの助言も必要でしょう。

 

自分のペースを崩されたくないという強い意志を持っている姿勢は、生活スタイルにも現れることもあり、一歩間違えると変人扱いされます。

 

 

 

 

 

 

以前、スティーブジョブズが、いつも同じ洋服を着ているのも話題になりました。

今はやってないそうですがイチロー選手も、毎日カレーを食べていたそうですね、

 

どちらも本人はいたって論理的な理由があっての事だそうです。

 

何れにしても、独特の「ルーティン」には本人の「強固なマイルール」に基づくものも多く見られます。

 

そこには「何が何でも自分のペースを守りたい」という強い気持ちがあらわれています。

 

競技中の「プレパフォーマンスルーティン」は、一般的に、

「自分にプレーの主導権(ボール)があること」

という状況で行使することが出来ます。

 

サッカーやラグビーのプレースキック、ゴルフのショット、野球のピッチャーなどはボールが自分の支配下にあります。

 

つまりプレーヤー自身に主導権があり、そのまま自分のペースに巻き込むことができるチャンスでもあります。

 

イチロー選手はバッターでしたよね

 

ボールが相手の支配下にあるにもかかわらず、自分のペースに巻き込んだ形を作り、自分の呼吸に合った動きにさせてしまうという凄さがありますね。

 

 

仮面ライダーが変身の儀式をやっているときに敵は攻撃しないでポカンと観ている状態ですかね。

 

もしイチローが無名のルーキーだったとしたら、テンポの速いピッチャーはイチローの一連の手順を待たずに投げ込んでしまうかもしれませんね。

 

 

 相手が居ようが居るまいが、自分のスタイルをやり通す、

自分の世界(ゾーン)に入り込む

 相手を自のペースに巻き込む、

自分のタイミングに引きずり込む、

 

  意識無意識に関わらず、そういう世界をつくる効果がありますね。

 

 

 

2つ目は、メンタルトレーナー、心理学者の視点です。

 

メンタルトレーナーは、

「心理学をベースとしてクライアントのメンタル面を向上させ目標達成と導く仕事、目標達成をサポートする」役割とされます。

  心理学者との関わりは、それプラス科学的裏付けによる安心感を感じさせるところが重要でしょうか。

 

 

このような立場の方々が「ルーティーン」を取り入れることを積極的に勧めています。

さらにルーティーンに組み込む内容を一緒に考えてくれたり相談に乗ってくれたりします。

 

 

 

 

メンタルのバランスに不安定感を感じているところに、「ルーティン」を一緒に考えてくれる「人」がいるということ、

一連の「ルーティン」に安心感が織り込まれ、強いプラセボ効果のプラスαが期待できます。

チームや個人に帯同したりして、クライアントに安心感をあたえるような存在感のある役割です。

  この、サポートしてくれている「存在感」そのものに意義が大きいといえます。

   

 

 

3、脳神経科学の視点

 

脳は、酸素およびカロリーを大量に消費する臓器として知られています。

体全体の基礎代謝量の20%は消費すると言われています。

そのぶん疲労も激しく、スキあらばサボろうとします。

 

 

 

 

 

人間の行動はほとんどが無数にパターン化されていて(質の良いものも悪いものも全て一緒くたになっていますが)ほとんどの行動は無意識で自動化されています(行動ほ意識よりも先行していると以前述べた項目と関連しているところです)

 

 

脳疲労を軽減する一番心地よい習慣は、ルーティーンをトレースする事です。

それにより脳はストレスをかなり軽減できます。

 

 

脳神経科学的には、ルーティンは「いつも通り」というダンドリづくりに似ていて、ダンドリどおりに進まないと発生してしまうストレス回避術と言えます。

 

ルーティーンワークは、いつも脳がサボるためにやっている行動のパターン化を意識的にやるという作業です。

 

ルーティーンをトレースするとこで良質なフィードフォワードに呼び込むことができれば良いパフォーマンスにつながります。