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2019/12/29
イップス は『見の目』から始まる 1
サッカーのディフェンスで、一瞬動きがよどんで決定期を作られてしまった時に、
『見てしまった』
と表現する事がよくあります。
武道においても『居つく』という言葉があり、瞬時の判断がスムーズいかず反応が一歩遅れるという現象を表しています。
宮本武蔵はこの状態のことを、
『見の目』という表現をしています。
これに対しては『観の目』という言葉を示していて、五輪書では、
『観の目強く、見の目弱く』と述べています。
『見の目』とは、「素の心境」で「見て」しまうという意味合いが含まれています。
『観の目』とは、「心眼で感じる」「全体像で観察する」「静として捉えず動として捉える(止まっているように見えても止まっているわけではない)」という意味合いが含まれています。
つまり、
「見の目」 「観の目」
「スカラー」 「ベクトル」
「静止画像」 「動画」
という対比であると考えています。
事実、
階段は「見て」しまう事でとゲシュタルト崩壊してしまうのです。
2019/12/08
天才的感覚が蒸発する理由 2
これはパターのアライメントをチェックするための練習グッズです。
(この製品に関しては、別売で肩のラインまでチェックできるアタッチメントもあります)
目的はシンプルに、毎回同じクオリティでアドレスする基準づくりで、
フェイスをターゲットに向けたり、ターゲットラインの真上に目を置いたり、眼のラインや肩のラインをターゲットラインに対して並行にしてストロークすることをチェック出来るようになっています。
トーナメントの練習グリーンなどでもわりとよく用いられるモノです。
しかし使用目的としては、アドレスの偏差を把握するくらいにとどめておきたいです。
なぜなら、これが『自転車のアライメントをニュートラルに修正した』のと同じ作用を引き起こす事があり得るからです。
「メガネのツルの高さ調整」の例を挙げるまでもなく、普通は眼窩そのものの位置関係がずれていたり、背骨や顎がわずかに傾いていたり個人差があることがほとんどです。
自転車で言えばアングルの歪みが全くない状態のように、
肉体で全てをデフォルトで平行に揃えることは難しく、
目のラインをターゲットを向けると他のラインが揃わなくなる傾向を持つプレーヤーの方が多いからです。
この場合、何を優先するかというと、
脳における視覚補完機能は、目のラインとストロークの流れる方向性に矛盾のない事を求めているので、(※脳における視覚補完機能についてはいつか詳しく)
これをまずは最優先させて、
目のラインはターゲットと並行に向けるべきというよりは、目のラインの向きがすなわち「ストロークの順目」の方向をあらわしていると考える方を先にします。
目のラインとストロークの方向性を揃える事で滑らかなストロークが作れる事を確認する作業を優先し、肩のラインやストロークラインが必ずしもターゲットラインと並行でなければならないという事にこだわりすぎない方がいいという事です。
自分本来の『順目』を優先しないと動きの流れが悪くなります。
スポーツのパフォーマンスは、潜在意識によって無意識に脳をフル回転させて高度な認知情報処理をしています。
このようなスポーツ動作の細部の動きを断片的に解析して顕在意識で意識的に管理しようとすると機能不全を起こすことがあります。(イップスのきっかけのひとつ)
これは誰かが証明するまでもなく、脳の仕組みとしては至極当然のものだと考えています。
これはゲシュタルト崩壊のプロセスと全く同じでもあります。
動きには流れがあり、『今』ある動きは前の動きを受けた影響の連続性の中にあります。
流れには「時間」と「空間」の要素があります。
この『流れ』を止めて断片的にとらえたりすることが「時間』」の流れを止める事になり、「空間」としては『流れ』の方向性に逆らったり、流れとは違う方向に無理に動かそうとする事で結果として機能低下が起こります。
流れの方向性は芝目でいう『順目』のようなものです。
プレーヤーそれぞれの『順目』を持っています。
その『順目に乗せていく』事がそのプレーヤーの感覚を最大限に引き出す事につながります。
ここを忘れて、客観的数値を追い求めすぎると、
魔法の感覚をあっさりと失ってしまう事があります。