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2020/09/15
バッティングのストレスとイップス
~ゴルフとストレス~
無類のゴルフ好きである安倍首相の持病の潰瘍性大腸炎が悪化したそうですね。
国のトップのストレスはかなりのものだったのでしょうか。
首相退任後は以前のようにゴルフを再開出来るように回復されると良いですね。
安倍首相といえば、祖父のゴルフ外交、岸・アイゼンハワーを、安倍・トランプといった感じで踏襲されたのが印象的でした。
同様に無類のゴルフ好きであったといわれているアイゼンハワー大統領(オーガスタのメンバーでゴルフ殿堂入りもしているそうですね)もかなりのストレスに悩まされていたそうです。
心臓病の持病を抱えていたアイゼンハワー大統領がゴルフをする際には、パッティングをしないゴルフを主治医に提案されていたそうです。
(「アイゼンハワー・ルール」「アイク・ルール」と呼ばれています)
心臓発作の突然死のリスクがあるほどのストレスのリスクが高いのがパッティングというわけです。
~なぜパッティングはストレスフルなのか~
数あるスポーツの中でゴルフが一番死亡率が高いことをご存知でしょうか?
突然死がダントツで多い競技です。(原因は当然外傷ではなく心臓発作、脳出血系です)
競技人口の平均年齢の高さも要因ではありますが、その中でもパッティング時に起こることが多いのです。
なぜそこまでパッティングは人をドキドキさせてしまうのでしょうか。
カンタンと思われていた期待値が高い中での思わぬ失敗等で、怒りや落胆、悔しさなどの激しく感情が揺さぶられてしまうところにあるのでしょうか。
落胆の大きいミスを繰り返す悪循環はイップス のきっかけになります。
パッティングでイップスを発症する場合に、このような感情の揺れ動きがプレーに影響しているという考え方から、メンタルトレーニングによってイップスの改善をはかる考え方もあります。
しかし、もしメンタルで解決するならば、
「まさかの失敗を想定し、許容し、受け入れ、次へ切り替える」
ということに尽き、大きな括りとしてある意味人生においても『究極のメンタル』が必要ということになります。
これはこれで、大テーマとして長期的に取り組む必要があるでしょう。
その前に、イップス を『予防』するために出来る事は無いのでしょうか?
2020/09/11
イップス 予防にもなるかも?のワンレングスの可能性
「アイアンクラブがワンレングスになったらどうだろうか」という仮説は、ゴルフを深く追求した人にとっては一度は考えた事があるのではないでしょうか。
かつて岡本綾子さんは、実際には9番アイアン以下を同じ長さにして実戦使用していたといいますね。
最近ではデシャンボー選手がワンレングスアイアンを使って話題になりました。
これまでのワンレングスクラブを実現するのを阻んできたハードルも、素材比重や金属強度などの物理的要因にありました。
ショートアイアンのようなロフトが多いクラブヘッドを軽く作る事が出来なかったのです。
今では様々な進化により技術的に問題なく作れるようになりました。
たた、調整して考慮しなければならない事もかなりあります。
シャフトの長さが変わると、球の高さが変わるので、ロフトのピッチ調整を再定義する必要性が出て来たりします。
(ネガティブな面は、この研究が進むと必要なクラブ本数が変わってきたり、シャフト性能の判断基準見えやすくなり、商業的に不都合もありそうで案外普及しないかもです)
かつて、全盛期のアーニー・エルスも、スイング軸と腕の角度の関係性がフィーリングに大きな影響を与えるという趣旨のことを述べていました。
ワンレングスになれば、スイング軸を伴う「前傾角」、「腕」、ライ角である「クラブシャフトのアングル」の3つの角度の関係性がほぼ変わらないとになり、特に腕の付け根(いわゆる脇の閉まり具合)にかかる圧力も一定になり、フィーリングの互換性がかなり高められます。
再現性が高い動作を楽にできればミスへの不安を軽減できます。
番手によって得手不得手の差が激しい方、ショートアイアンなどがイップス気味の方はもちろん、もしくは多忙で練習量が充分とれない方なども試してみる価値があると思います。
2020/09/05
ミスから考えるゴルフの未来
今週の週刊ゴルフダイジェストで、ラウンド中のミスへの対処法についてのレッスン記事を担当しました。
その中で、うまくいかなかった時を想定し、プランBやプランC、Dを用意しておく提案をしました。
私自身も先日のラウンドで、股関節を痛めていた為ドライバーが不安定でしたのでラウンドの終盤に3Wでティーショットする事にしたりする機会がありました。
やってみると、ドライバーの飛距離とほぼ変わらないで不安定さも軽減されだので、もっと早く使えばよかったかなとも思いましたが、
特にスコアにナーバスになるほどでもないラウンドの場合はついついドライバーを使い続けてしまう気持ちもすごくわかります。
もし、もっとナーバスになってプランBやプランCというふうに追求するとしたら、
3Wでも不安感なく安心感を持ってスイングしているとは言えない状態でしたので、、プランEくらいになって、
おそらく8番アイアンあたりまで番手を下げればある程度不安感なくスイングできる段階になるかもという事になってしまう事も考えられます。
さすがに実際に8番アイアンから下を使ってラウンドすると周りがビックリしてしまいますので、中々できないとは思いますが。
しかし近い将来に、クラブの進化と再定義でこのような安心感でゴルフが出来る未来が来るのではないかと内心考えています。
近頃、実際に販売され始めた、ワンレングスアイアンやワンレングスユーティリティーがその先鞭をつけるかも知れません。
2020/08/16
成田美寿々選手に何が起こったのか
大たたき20オーバー92に成田美寿々が涙「ちょっと…おかしくなって…」左手親指痛で棄権(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e5f290c521606a722bd4b9bde71c4256d82fe01
【ツアー13勝を誇る実力者・成田美寿々(27)=オンワードHD=がノーバーディー、8ボギー、4ダブルボギーにパー5での9で20オーバー92という、信じがたい大たたきを演じた。スコアカード提出後、気丈に報道陣の前に立ったが「アース・モンダミン杯の前から…ちょっと…おかしくなって…」と涙。第2ラウンドを前に左手親指痛のため棄権を申し出た。 特にドライバーショットに変調を来しており、「ティーショットをコース内に置くことができないので…」。今大会は選手、キャディー、マーカー以外は観戦できないためプレー状況の詳細は不明だが、「練習場では調子がいい時ぐらいのショットができていた。まあ、心の問題かなと…。あまり思いつめないほうがいいよと言われてます…」と苦しい胸の内を吐露した。】(中日スポーツ)
成田美寿々選手は今回フィーリングを失った状態で18ホールをプレーしたようですね。
棄権したとはいえ、屈辱的なスコアであるにもかかわらず、スコア提出したということからみても非常に誠実で責任感の強い、尊敬すべき選手であることがよくわかります。
「まさか一流選手が20オーバーするとは」と驚く人も多いかと思いますが、ゴルフは一度歯車が狂ってしまうとこのようになってしまう事は珍しくありません。
早めに対策して何事もなかったかのようにまた活躍して欲しいですね。
「ドライバーイップス になってしまったんじゃないだろうか?」と思った事がある人は身に覚えがある状況かもしれません。
アマチュアゴルファーのイップス 対策に取り組んできてから、この『ドライバーイップス なのでは?』という相談がアプローチやパターに負けず劣らずかなり多いという事はこれまでも述べてきました。
今回は、このような時に、一般的にどのようなことが起こっているのか、ひとつのケースを示して説明してみようと思います。
ドライバーイップス は気持ちの面から来る不安や緊張による失敗から起こる、マイナスのスパイラルと言われています。
意外とほかのスポーツでは、不安や緊張感を力に変えて、ベストパフォーマンスにつなげることが実は可能です。
ではなぜゴルフでは不安と緊張が負の相関になりやすいのでしょうか。
それは、ゴルフスイングが再現性の高いメカニカルな仕組みを常に求められているところにあります。
プロゴルファーは、この再現性のあるメカニカルな動きを獲得するためにかなりの時間を使って反復練習の数を積み重ねていくわけですが、そのような練習プロセスは基本的には平常心のもとで行われるものです。
これが平常心を失った時に状況が変わってしまいます。
これも進化医学の視点から考えると原因が見えてきます。
不安要素を抱えた状況や、緊張を強いられる状況になった時に、いわゆる交感神経優位にバランスに強く傾いた状況になり、闘争逃走反応などによるストレスホルモンが分泌されやすくなります。
そのため、呼吸が浅くなり、横隔膜がせり上がり、肩甲骨の位置が上ずる事があります。
そうなった時に、いつもの平常心で積み上げた練習とは違う動きのメカニズムに微妙にズレが生じます。
ここからが、解説がが難しいところになりますが、出来るだけ簡単にドライバーイップス に至るひとつのモデルケースとして示してみたいと思います。
不安要素を抱えてネガティブな気持ちの中、緊張で気持ちが上ずる
→ 横隔膜が上がり呼吸が浅くなる
→ 胸郭の形が変わり肩甲骨の位置が微妙にずれる
→ スキャプラプレーン(肩甲骨面)から上腕骨がいつもの角度から外れやすくなる
→ いつもの肩外旋のテンションがかからず脱線フィーリングに違和感が出る。
→ 切り返しのクラブのモーメントコントロールが効かなくなる
→ 結果を取り繕い、補うような代償動作をやり始める
→ ますます以前のフィーリングを見失う
→ 以前どういう風にしていたか考えても分からなくなる
→ 平常心でもそのようなイレギュラーな動きのクセが出てしまうようになる
→ イレギュラーなスイングが慢性化してしまう
→ ドライバーイップス の状態になる
この肩甲骨(scapular)の面(plane)、スキャプラプレーンに対して上腕骨がイレギュラーな動きをするの部分については、実績のあるプロ選手の場合、外れ値(許容範囲から外れた度合い)に対するイレギュラーの起こる確率は極めて小さく、治しやすい部分です。
何が言いたいかと言うと、肩外旋を含む肩甲骨の動きに関しては、普段のコンスタントなスイングの場合、肩甲骨の位置が安定し、肩の外旋をした時にある一定の『行き止まり感』のテンションが作れる場所的なものが存在します。
これは、肩のゼロポジションにおける肩甲棘が上腕骨を受け止める「受け皿の大きさ」みたいな役割のものです。
この位置関係から、骨の位置がズレるといつもの動きができなくなり、フィーリングを見失うのです。
この場合の肩甲棘の部分を、自分の中では『許容範囲の棚』と呼んでいます。
コンスタントな結果を出している選手はこの『棚』が広く、棚に乗せやすいイメージがあります。
結果が不安定な人はそもそも『棚』が狭くそこにハマらずに滑ってしまうというイメージです。
(要するにハマる位置が広いか狭いかということになりますかね)
一流選手はそもそも素質的にその『棚』が広く、そこにハマりやすい状況になっています。
(ここで、緊張・不安対策か、技術的修正かの二択になりますが、ここでは技術的修正からのケースを取り上げてみます)
ですので、その位置関係を早めに見極めて戻すべき場所を確認する事が先決です。
それには客観的な『目』が必要になるでしょう。数値に加えて、ハマっているのか外れているのかのニュアンスをその都度ヒアリングしながら確認していきます。
位置関係が安定すれば再現性の高い動きに導けることを確認すると、気持ちに安心感が生まれます。
たとえ不安に感じたり緊張したとしても、いつもの関節の位置関係を戻すきっかけや手応えがあればメンタルは後からついてきます。
そのあとでメンタルに取り組めば、メンタルと関節の位置関係の相関の本質が実感できてさらに安定度が増すという事になるでしょう。
2020/08/03
イップス 対策に有効なフォワードプレスとは
実は、イップス 対策のアドバイスは、細かくヒアリングを重ねた上での完全なオーダーメイドレッスンとして取り組みたいと思っておりまして、普段も出来る限りそうしているつもりではあります。
無理にパターン分けをしようと思えば出来そうな感じもするのですが、よくある2軸マトリックス形式で4つのBOXを示そうとしても、あと2軸くらい足したくなって、3次元4次元になってしまいそうです。
しかし、「話を聞かなければなんとも言えない…」と言っているといつまで経っても『何をやっているのか謎』という印象でしょうし、
ちょっしたゴルフレッスン的に対策出来るライトな例をいくつか挙げてみたいと思って、ある動画を撮ってみました。
https://www.youtube.com/watch?v=GJl_H__1yxM&feature=share
コレはなにもふざけているような動画を撮っているわけではなく、いくつかイップス に効果的な意味合いを持たせたものです。
⑴よく練られたワッグルやフォワードプレスは掘り下げればとても効果的なイップス 対策である。
⑵バックストロークはフォワードストロークであり、フォワードストロークはバックストロークでもある。この流れをつくるのは良質の反射でありこれを利用してイップス 対策も出来る。
⑶イップス の反応を引き起こしている動作、もしくは呼び込む予備動作じたいを排除する(もしくは最小限にする)ことが出来ないかを試してみる。
⑷道具の余計な挙動が、自分の感覚を狂わせてイップス 反射を誘発していないを検証する。そしてそれを最小限にする。
などの意味合いが含まれています。